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新聞・テレビのリタリン叩き 患者の治療手段を奪うな 2007/10/22

讀賣新聞が17日の朝刊で社説と広告を除いた第3面の1頁を割いて、リタリン特集を組んだ。論調はといえば、リタリン叩きの先駆けである毎日新聞と何ら変わらず、難治性・遷延性うつ病の治療に使用されている向精神薬リタリンの乱用や依存性をことさらに煽り立てるもので、リタリンの効能や同薬の恩恵を受けている患者の声には全く触れられていない。朝日新聞も10日朝刊の生活面で大きく「処方され、リタリン依存 『医師は止めてくれなかった』」という記事を掲載し、依存症に陥った患者を匿名で紹介している。

stock.xchngより
 リタリンを服用している都内在住のうつ病患者の男性は一連の報道にこう憤る。

――「新聞やテレビではリタリンは麻薬・覚醒剤と同じで、一度、服用したらあたかも泥沼にはまるように薬に溺れていき、最後は身を滅ぼすかのように報じられています。真に受けた人は、リタリンを服用している患者を偏見の目で見て、どうしようもない中毒者だと思い込んでいるでしょう。しかし、依存症に陥る人や乱用者はごく少数に過ぎず、大半の患者が節制をもって医者の処方通りに同薬を使用しています。私は既存の抗うつ薬が効かなかったため、リタリンが処方されました。私のようなうつ病患者は少なくありません」

 厚生労働省の推計では、うつ病を含む気分障害の患者は2005年10月現在で約92万4000人に達した。そのうち、リタリンを服用している患者の数は不明だが、おそらく、万単位で存在するといわれている。それだけ多くの人が同薬の恩恵を受けているのだ。

 しかし、リタリンを服用しているのは、うつ病患者だけではない。忘れてならないのは、ADHD(注意欠陥・多動性障害)の患者の存在だ。ADHD患者は時間が守れない、物の整理や情報の管理ができない、大切なことを忘れる、見通しをつけるのが苦手、衝動的に行動してしまう、注意力を持続することができない等、日常生活をきちんとこなす能力に欠陥が現れる症状を抱えている。欧米ではリタリンは第1にADHDの治療薬として認可・使用されている。しかし、日本ではADHDはリタリンの適応の範囲外で、保険が効かないため、薬代の10割が患者の自己負担となる。都内に住むADHDを患う女性は日本の現状を嘆く。

――「先進国ではADHD治療の標準薬はリタリンです。厚生労働省も規制には躍起になるのに、世界では当たり前のリタリンのADHD治療への適応は頑なに認めようとしない。依存や乱用ばかりを煽るメディアも問題です。ADHDに同薬は効果があると国内外の研究者が報告しているのに、そのことには一切触れません。リタリン=悪というイメージだけが流布され、同薬は日本で葬られようとしています。切に必要としている患者がいることに厚労省もメディアも目を向けて欲しい」

 厚労省はリタリンの適応を1万人あたり3~18人の確率で発症し、日中に過度の睡魔に襲われる睡眠障害・ナルコレプシーに限定することを今月17日に決定した。製造販売元のノバルティスファーマ社は2008年初頭を目途にナルコレプシーを正確に診断できる医療設備・施設の整った医院・医師を精査した上でリスト化して、リタリンを処方できる医療機関・薬局を登録制にして流通を厳しく管理する方針だ。日本全国で100程度の医療機関に絞り込まれることが予想され、これによって99%以上の精神科医がリタリンを処方できなくなる。その結果、うつ病患者はもとより、ADHD患者もリタリンを服用できなくなる。前出の女性は語る。

――「治療薬が奪われるのですから、ADHD患者にとってはまさに死活問題です。製薬会社の方針撤回を祈るばかりです。」
(及川健二)
◇ ◇ ◇
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