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リタリンが薬局から消え始めた

 難治性・遷延性うつ病や睡眠障害のナルコレプシー、ADHD(注意欠陥・多動性障害)の治療薬として用いられてきた向精神薬「リタリン」が、院外処方を行う街の薬局から姿を消している。メディアで連日、大々的に報道された同薬が、秘かに回収されているのだ。

http://www.ohmynews.co.jp/news/20071111/17215

 患者の1人は語る。

 「私はADHDを患っているので、保険外適用の自由診療でリタリンを処方してもらっています。しかし、処方箋が出たはいいが、これまでリタリンを処方してくれた薬局が突如、取り扱いを中止しました」

 「『リタリンの在庫はもうない』というので、『では、取り寄せてくれないか』といったのですが、『ウチではもう扱わない』の一点張り。リタリンの処方を拒否する調剤薬局は少なくなく、6件歩いた末に、処方してくれる薬局がやっと見つかりました」

 リタリンの製造販売元のノバルティスファーマは、遅くとも来年1月1日までにナルコレプシーを正確に診断できる医療設備・施設の整った医院・医師を精査したリストをつくり、リタリンを処方できる医療機関・薬局を登録制にして流通を厳しく管理する予定だった。

 しかし、私が緊急に訪問と電話で新宿駅周辺にある10件ほどの調剤薬局に聞いて回ったところ(11月7日)、そのすべてでリタリンが回収され、首都圏で続々と薬局からリタリンが回収されている実態が判明した。

 回収現場を目撃した女性はいう。

 「医薬品メーカーの医薬情報担当者とおぼしきスーツ姿の男性が薬局に入って来て、『例のアレ、回収に来ました~』といいました。薬局の店員は奥から白い錠剤の入った小瓶をカウンターの上に並べて、男性は1つずつ数えて、何やら書類に書き込んでいました。瓶にはリタリンの文字が書かれていました。そして、男性はそれをカバンにしまい、持ち去りました」

 リタリンの処方が今後も認められる睡眠障害のナルコレプシー患者も困惑を隠さない。

 「私もこれまで使っていた薬局がリタリンの取り扱いを中止し、薬局探しに苦労しました。誰が何の目的で回収しているのか分かりませんが、私のように国や製薬会社も治療にリタリンが必要だと認められた患者にまで迷惑がかかるなんて、患者の人権をまったく考えていませんね」

 いったい、これはどういうことなのか。実をいうと、11月に入ってノバルティスファーマはリタリンの添付文書に重要な記載を追加している。そこでは、リタリンを処方する条件を次のように定めた。

 「本剤の投与は、ナルコレプシーの診断、治療に精通し、薬物依存を含む本剤のリスク等についても十分に管理できる医師・医療機関・管理薬剤師のいる薬局のもとでのみ行うとともに、それら薬局においては、調剤前に当該医師・医療機関を確認した上で調剤を行うこと」

 「これは製薬会社によるフライングではないか」と医療問題に詳しい弁護士は指摘する。

 「リタリンについて公的機関で議論されたのは、今年10月17日に開かれた厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会だけです。そこで決定したことはメーカーが第3者委員会を設け、来年1月1日までに同委員会が慎重に協議した上で、リタリンを処方できる医師・医療機関・薬局を認定してリスト化することです」

 「しかし、メーカーが出した今回の通知は、第3者機関の決定なしにリタリンを処方できるかどうかは薬局が決めるというものです。薬局の自主判断に委ねるかのように書かれていますが、実際にやられているのは、半ば強制的なリタリンの回収作業です。拙速な回収は厚労省の担当部会の決定すら逸脱しており、患者を無視した暴走といえます」(同弁護士)

 ノバルティスファーマがリタリンの適応からうつ病を削除すると唐突に発表したのは9月半ばのこと。同薬の実質的な禁止が決定したのは10月17日だ。そして、11月に入って、メーカーの独断によって同薬を薬局から回収する作業が始まった。

 「患者が反対の声をあげる暇もなかった」

 リタリン禁止措置に反対する署名を集めている患者の1人は、拙速すぎるメーカーの対応に困惑を隠さない。

 「困っている患者は少なくありませんよ」

 都内の精神科医はこうぼやく。患者の存在を一切無視して、慌ただしく1つの治療薬を抹殺するメーカーには社会的責任という概念が欠けているといえよう。

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