スポンサードリンク
スポンサードリンク

TOP >  睡眠障害関連記事

「障害者病棟」に障害者が入院できない

【特集・第8回】 2008年度診療報酬改定(8)
小森直之さん(医療法人社団恵仁会理事長)

http://www.cabrain.net/news/article/newsId/15765.html

 今回の診療報酬改定は、慢性期治療を担う病棟に対する入院基本料の算定要件を厳しく締め付けた。重度の患者か、在宅復帰の見込める患者でないと、入院を続けるのは難しいという内容だ。慢性期への評価を下げ、在宅医療を進めようとする政策は、地域医療を担う民間病院にどのような影響を与えるのか。少子・高齢化が進む中、今回の改定は医療の将来像をどう変えたか―。京都市内で病院を経営する京都私立病院協会理事の小森直之さんに聞いた。(熊田梨恵)

【関連記事】
再診料問題で画竜点睛欠く08年度改定
診療所を悪者にする論調は心外
「脳卒中患者の行き場がない」
救急受け入れ「ベッドがない」(2)~特集・救急医療現場の悲鳴

―先生の病院では、一般病棟169床すべてに障害者施設等入院基本料を算定しています。今回、特殊疾患病棟入院料と障害者施設等入院基本料の算定要件だった「重度の肢体不自由児(者)または脊髄(せきずい)損傷等の重度障害者」から、脳卒中の後遺症や認知症患者が10月から外されることが決まりましたが、どうみますか。
 今回の診療報酬改定は、身体障害者手帳を持っていても「障害者病棟」に入院できなくなるという矛盾した事態を起こしました。「特殊疾患病棟入院料Ⅰ」では、「意識障害レベルがJCS(Japan Coma Scale)でⅡ-3(または30)以上か、GCS(Glasgow Coma Scale)で8点以下の状態が2週以上持続している患者や、無動症の患者は算定を認めると言ってはいますが、これらに該当するのは触れてもほとんど反応しないほどの重度の患者で、絶対数が少ない。これでは1級の障害者でも入院できないことになり、大問題です。本当に対象から外してよいか、国は再考すべきです。

―今回の診療報酬改定では、脳卒中の後遺症を持つ患者の行き場がなくなることを問題視する声も聞かれます。
 慢性期病棟に入院できなくなったり、急性期病棟からの早期の転院を迫られたりする脳卒中の後遺症の患者は行き場がなくなり、今後、無視できない問題になることは確実です。呼吸管理のため、手術後にレスピレーターを付けている患者が、療養病棟に転院する場合、スタッフの労働力や医療費の負担が重くなることなどを考えれば、療養病棟も手いっぱいで、受け入れは難しいでしょう。10月を待たず、6、7月になれば問題が顕在化し始めるように思います。

―今までの入院基本料が算定できなくなり、病院経営にとっても大打撃です。
 障害者病棟または特殊疾患療養病棟を一日約3,000円として試算した場合、100床有していれば年間で約1億円の減収になり、経営を維持できません。算定を継続するためには、筋ジストロフィー患者か難病患者をどこまで受け入れるかということになりますが、類似する患者は少ないため、厳しいでしょう。また、障害者病棟は、一般急性期の患者を病棟の3 割未満で受け入れているため、亜急性期病棟のような役割も果たしています。この機能がなくなれば、急性期の受け入れ先も一層少なくなるでしょう。

■急性期を担う民間病院が消える
―今回の診療報酬改定の民間病院への影響は。
 そもそも病院の利益率は2%以下という、民間企業から見ても低過ぎる状態。その上、今回の改定は、トータルで0.82%のマイナス改定です。また、薬の処方も2002年度改定で長期投薬制限が撤廃されている上に、今回の改定で睡眠導入剤や医療用麻薬の30日処方が可能になったため、外来患者は確実に減ります。再診料がわずかに上がったものの、つまるところ病院は減収です。現在でも7:1の看護配置が満たせない民間の急性期病院は、国公立病院に看護師を取られてしまい、100床単位で病棟閉鎖している状況です。さらに、厚生労働省は医療機関の新規建て替えに対する補助事業として、「医療施設近代化施設整備事業」を実施していますが、国公立病院の建て替えが一定程度終わった約2年前から、実質稼働していません。病棟を閉鎖して診療所になる病院が増えることは間違いなく、現在約9,000か所ある病院は、ここ2、3年で確実に減少し、実質的な二次救急の役割を果たせる急性期病院は少なくなるでしょう。厚労省は民間病院をなくそうとしているとしか思えません。

―勤務医の負担軽減の観点から、「ハイリスク妊娠管理加算」や「新生児入院医療管理加算」などが産科・小児科に重点配分されました。
 これらは病院の収入です。院内では外科医や内科医、脳外科医など、さまざまな医師たちが過酷な労働環境の中で頑張っているのに、経営者としては産科や小児科医の給料だけを上げるわけにはいきません。医療機材や赤字部分の補てんに消えてしまうため、負担の軽減とはほとんど関係がないです。また、へき地に医師を派遣するなどの対策も講じているが、麻酔が必要なことを考えれば、外科医以外は一人で手術はできません。とにかく医師を一人派遣すればいい、というやり方は間違っています。

―ますます勤務医が開業に走るケースが増えますね。
 急性期の若い勤務医は訴訟リスクを嫌がり、現場から離れます。また、厚労省はこの4月から標榜科目を2種類の組み合わせにするよう通知しましたが、例えば「心臓血管外科」などとすると、診療の幅が狭まって、ほかを診られなくなるため、医者はさらに細分化されてしまい、勤務医が減ります。さまざまな要因から、医師不足は広がっていきます。最初は窓口を緩めて誘導しておいて、後からはしごを外すのが国の政策の典型なので、今度はおそらく、数が増えた開業医への締め付けが厳しくなるでしょう。また、開業医が集中する都市部では、在宅患者の奪い合いが始まるかもしれません。

―国は在宅医療を進めようとしていますが、うまくいくでしょうか。
 国は医療費抑制を目的に、病床を減らして在宅医療に移行しようとしていますが、実際は在宅より病院などの施設で診る方が医療費は掛かりません。例えば脊髄損傷で首から下が動かない障害者の場合、病院などの施設では月間40万円掛かりませんが、在宅だと24時間誰かが見ていなければならず、療養環境整備などを考えても100万円前後は掛かります。これでは市町村財政は確実に破綻(はたん)し、いつまで在宅で患者を診られる体制が取れるか疑問です。市町村が運営する介護保険も、介護給付費が制度開始当初の3.6兆円から今では約7兆円にまで膨らみ、財政は限界です。国自体が800兆円近い借金を抱える今、何が正しいのか、もう少しすれば見えてくるのではないでしょうか。

■厳し過ぎる将来像
―民間病院は今後どうなるのでしょう。
 50年後に日本の人口は半減します。東京に日本の総人口の約1割が集中しており、東京・名古屋・大阪に過半数が住み、地方の人口が減少しているというデータが先日出ました。東京都港区や台東区などでは、中学3年まで通院・入院費用を助成という形で無料にしているのが良い例で、人口が多く財政の豊かな自治体はインフラも整備できるため、今後も地方から都市部への移住が広がるのは間違いないです。しかし、移住が進んでも、地域住民の命を守る病院は最後まで残らねばなりません。このとき、地域に民間病院が一つしかなければ、その病院はどうなるのでしょう。医療法人は税金を企業並みに取られますが、配当はできないため、相続税などもろもろの借金を抱えて倒れていくしかありません。こういう部分こそ、本来は国が面倒を見るべきではないでしょうか。社会医療法人なども要件が厳し過ぎて、なれるところはありません。国は地方の民間病院をなくして、都市部の大病院だけが生き残るようにしているとしか思えません。

―医療崩壊が叫ばれています。日本の医療に未来はあるのでしょうか。
 行き着くところまで行き、日本の医療は一度崩壊するでしょう。しかし、官僚は入れ替わるので、誰が責任を取るかです。人口が減り、国が少子化対策などを進めようとしている一方で、産科や小児科が減って分娩(ぶんべん)制限する病院があるとは、全くおかしな話です。国民は日本の医療費が先進諸国に比べて安いということを知らなければなりません。病院と診療所の違いすら理解されていない現状ですが、もっと医療のことを知る必要があります。最後には自分の周りで医療が崩壊している現状に、国民が気付いて声を上げていくしかないのではないでしょうか。

更新:2008/04/25 19:37 キャリアブレイン

スポンサードリンク

関連エントリー

毎日の昼寝が高齢女性の死亡リスクを高める   トラウマ的体験が睡眠に影響を及ぼす   (1/15)幼児期の心的外傷が慢性疲労症候群に関連   増える「睡眠障害」 原因にあわせ治療を 認知不足によるトラブルも   新MacBookは不眠症でサードパーティのRAM嫌い   睡眠に着目した新しい間取り提案書を付属する住宅デザインソフトを発売   自殺予防は開業医が主役に   TechCrunch50の優勝者はYammer   イヌやネコのいる家庭に育つとイビキをかきやすくなる、スウェーデン研究   羽生蛇村日報 第13報 - 先生なら何されても平気だよ   【今日のニュース】携帯電話の使いすぎは10代の若者の睡眠に悪影響を及ぼす   「うつ病診断」医者は信じられるか 「新しい」タイプ続々   東京都心で年間損失44億円 ヒートアイランドの影響   ヘルシーリポート:眼精疲労 パソコンで目を酷使…頭痛、肩凝り、倦怠感   ご近所のお医者さん:/30 頻尿治療に役立つ患者「日誌」=荒木徹院長 /岡山   ハラハラうきうき歯医者通い   プロ野球:巨人・ゴンザレス薬物違反 巨人「注意促したが…」 「球界の盟主」激震   ドーピング:ゴンザレスから検出の3種、いずれも興奮作用   他人の薬投与され入所女性死亡 佐世保の身障者施設   佐世保・障害者施設 誤投薬後に入所者死亡 本人確認職員怠る 昨年度もミス14件   男性ホルモンの減少が招く「男の更年期障害」   「眠りを治す」井上雄一著(小学館 1300円)   【社説】大統領が先に国民と疎通を!   四川大地震:PTSDのケア開始…3都市に医師50人   中国・四川大地震:あの恐怖、何度もよみがえる 「1割に心の傷」--ケア開始   交通事故の被告に罰金30万 脳脊髄液症との関係認めず   東京都心で年間損失44億円/ヒートアイランドの影響   過労の背景に家事労働の負担も認定 大阪地裁判決   佐世保市の障害者施設で薬を誤投与、女性入所者が死亡   夜型リズムにブレーキ 体内時計の遺伝子特定   男はホルモンですごい仕事をやる!!   死別の悲しみとケア:1(坂口准教授)   光利用し睡眠調整を 東行きの『時差ぼけ』   寝不足や疲れが原因とは限らない!食後に猛烈に眠くなる病気   個展:線維筋痛症と闘う大学生、「命」のいとおしさを詩に--天理 /奈良   「障害者病棟」に障害者が入院できない   風邪の治療のように気軽な人工中絶手術   睡眠時間の少ない乳幼児は過体重になる   【アストラゼネカ】パルミコートで長期投与の安全性データ発表   君は海外留学?僕は山村留学!   ムコ多糖症   『 朝起きれない、昼夜逆転 』の人が急増 !   アストラゼネカ、パルミコート吸入液の長期投与の安全性データを公表   治療の時間軸   安保徹教授「がんと闘うためには免疫力を高めるべき」(1)   東北大学サイクロトロン・RIセンターなど、花粉症治療薬服用時の自動車運転への影響を発表   講習会:被災時の障害者支援へ 中越沖地震の対応紹介--高知 /高知   聴導犬、もっと身近に・入れる施設拡大、法改正が追い風   大場久美子8年間も悩んだ 「パニック障害」って何?   小児リハビリ専門施設が完成 神戸   要約: 新規に2050万ドル調達=OSA診断機の米スリープ   監視カメラに“頭脳”あり ハイテク化で多彩な用途   責任能力高裁判断に注目同僚と妻殺害あす控訴審判決   【鑑定人尋問(2)】そのとき「火の見櫓のお七」の幻覚見た歌織被告(10:15~10:30)   21日は世界睡眠デー 睡眠専門家100人がオンライン相談受付   レム睡眠行動障害  寝ぼけて異常行動   超高齢社会を生きる/シリーズ4 後期高齢者医療   高齢者虐待防止にマニュアル   症状が進めば生活習慣病に 四日市で睡眠時無呼吸症候群の講座   “学習医学”からみた正しい社会人の勉強習慣   新規に2050万ドル調達=OSA診断機の米スリープ〔BW〕   米国人の2割が性欲減退、その原因は?   がん支援考えよう 島根県益田保健所が座談会   <パク・テギュン記者の食品物語>コーヒー、1日3杯まで…   静岡県が中高年の自殺予防CM   ヒース・レジャーさん、死因は薬物中毒   自然死ではなかった!? 急死したピンプ・Cの死因は睡眠障害と処方薬の合併症。   【中医協】抗癌剤感受性試験など保険適用へ   地震被災者宅を訪問、健康相談・・・  2保健師「中越沖」語る   今年こそより質の高い十分な睡眠を得る   肥満治療薬の無資格処方で代表を聴取   「やせ薬」無資格で処方、医師ら2人逮捕   痛みや体の不調 原因は鬱病かも?   カリスマドクター逮捕…やせ薬を無資格の店長らに販売指示   35時間無睡眠のサルも元気に――脳内ホルモンを鼻内にスプレー   肥満治療薬を無資格処方 医師法違反容疑 サロン代表医師逮捕   日本初 『光療法の総合サイト』 が本格オープン   東京のエステ、向精神薬を不正販売──近畿厚生局、譲渡容疑で心斎橋の店など捜索   「メディカルサロン」で向精神薬を不正に譲渡   リタリン詐欺の男女を起訴