こころとからだの相談室:睡魔とホルモンの関係
◇ 質問 生理前から生理中にかけて、強度の眠気に襲われ頭がもうろうとします。最初は、寝不足や疲れによるものかと思っていましたが、いつも月の決まった時期(生理前後1週間ぐらい)に起こる周期的なものだと最近気づきました。周囲からは「居眠りが多い」と非難されることも多々ありますが、どうしようもありません。何か改善する方法はありますか? また、生理と眠気は関係あるのでしょうか? ホルモンの分泌とも関連しているのか、最近特にひどくなったように感じます。特に不眠などの睡眠障害はありません。平均睡眠時間は約5時間です。(47歳、女性)
http://mainichi.jp/life/health/mailife/news/20081226org00m100005000c.html
◇ 回答 お尋ねのケースは「夜間の不眠のない日中の睡魔」とのことですが、過眠と月経をキーワードとした睡眠障害としてとらえることができます。女性の睡眠の質は女性ホルモンの月の分泌リズムや、更年期の女性ホルモンの変動にしたがって影響されます。多角的な検討が必要です。
1つは月経前症候群(Premenstrual Syndrome, PMS)としてのとらえ方です。PMSに伴う睡眠障害では、不眠より過剰睡眠や日中の眠気を訴える人のほうが多く認められます。睡眠障害のほか、うつ、怒りの爆発、イライラ、不安、困惑、社会的引きこもり、乳房の張り、腹部膨満、興味や関心の減退、集中困難、倦怠感、食欲の変化(多くの場合食欲増加)、行動や感情のコントロール不全などが症状として挙げられます。閉経に近づくにつれ症状が強まる人もいます。
一方、睡魔の問題が突出している場合、睡眠障害の観点から月経随伴睡眠障害のうち月経前過眠症の可能性を考えます。やはり女性ホルモンとの関連が指摘されています。
47歳で閉経直前であること、平均睡眠時間が5時間と短いことも考慮すべきでしょう。健康・体力づくり事業財団の調査(1998年)によれば、40~60代の日本人女性の平均睡眠時間は男性より約30分短く6.5時間程度となっています。この年代の女性が多忙で睡眠時間が確保しにくい点、更年期の睡眠障害などがその理由です。40代後半ともなれば徐々に閉経に向かい、女性ホルモンの変動が起きている時期に当たります。この時期の睡眠障害には夜間の浅眠や早朝覚醒が多く見られます。不眠の自覚はないとのことですが、睡眠時間に個人差はあるものの、やはり少し短いのではないかと気になります。夜間の睡眠が何らかの原因で十分でないために日中に眠気が生じやすくなっており、PMSとあいまって月経前に眠気が強まるという可能性もあります。
最後に、睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome, SAS)も考えておきましょう。SASは夜間に気道閉塞などの呼吸障害で睡眠が妨げられ、日中著しい眠気に襲われる疾患です。閉経前女性には一般にSASは少ないのですが、その大きな理由は女性ホルモンに呼吸中枢を刺激する働きがあるためです。そして閉経すると女性にもSASは増えてきます。閉経周辺期では特に月経前から開始直後に女性ホルモンが最低値になるため、この時期に一致して睡眠時無呼吸となっている可能性があります。いびきがあれば要注意です。
これらはいずれも月経や閉経に関連している状態ですので、まずは婦人科を受診してはどうでしょうか。睡眠障害以外にPMSや更年期症状があれば、これに準じ漢方薬や一部の抗うつ薬、低用量避妊薬、ホルモン補充療法などが適応になります。睡魔が突出していれば睡眠に特化したスリープクリニックの受診がよいでしょう。SASが心配な場合は呼吸器内科や耳鼻科で扱っているところがあります。
最後に1つ、生活の見直しもお勧めします。やはり睡眠時間5時間は少し短いような気がします。
回答者:加茂登志子(東京女子医科大学附属女性生涯健康センター センター長)
2008年12月26日
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